今はもうない

2004年11月18日 読書
かなり前に購入してもう何度も
読んだことのある本なんだけど
久しぶりに読み返して新しい発見。

作中で犀川と萌絵が会話している時の
犀川の発言。
「言葉とか理論と言うのは、基本的に他人への
 伝達の手段だからね。言葉で思考していると錯覚するのは、
 個人の中の複数の人格が情報や意見を交換し、議論しているような
 状態か、もしくは明日の自分のために言葉で思考しておくよう
 場合だね」
これを読んで、ああ、と思ってしまったわけ。

実は最近、彼氏さんのことで友人にいろいろと相談したときに
自分の考えや今の彼氏さんとの状態を説明しようとしても上手く
言葉が出てこなくて「あのー、ほら、何て言ったらいいかな」と
何度も繰り返してしまった。
完全に言葉に詰まった状態。
友人には「由江、年とった?」って笑われたんだけど、この本を
久しぶりに読み返してすごく納得がいった。
今の私は、言葉で思考してないんだ。物凄く感覚的な部分で
いろいろと考えたり悩んだりしてるから、それを他人に対して
説明しようとしても、できない。
犀川的に言うなら、「個人の中での議論がなされていない状態」な
わけだなぁ(苦笑)。

それにしても、何度も読み返しているのに何度も
同じ文章でいろいろと考えることができるあたりが
奥が深いところだなぁ、と思う。
森シリーズの中で一番のお気に入りな理由は
『SMシリーズの異色作』っていう部分以外にも、ラストの一文や
表紙にさりげなく書かれた文章、情報伝達や過去の物が消え逝く
様子を書いた文章の美しさがあるんだと思う。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索